KORG「Volca Sample」と「Volca Sample 2」どっちを選ぶ? 「Pajen」ファームウェアとは?

 

以前からKORGの「Volca Sample」が気になっていて、「Pajen」というカスタムファームウェアを含めてVolca Sample 2」との比較してみました。

https://ranzee.com/volca-sample-unofficial-firmware/


こちらは初代「Volca Sample」です。 2014年10月発売

KORG「Volca Sample」https://www.korg.com/jp/products/dj/volca_sample/


こちらが二代目の「Volca Sample2」 前面にUSBポート。2020年 8月発売

KORG「Volca Sample 2」https://www.korg.com/jp/products/dj/volca_sample2/


Korg 「Volca Sample」と「Volca Sample 2」の比較を以下にまとめました。両者は基本的なコンセプトやデザインは似ていますが、「Volca Sample 2」にはいくつかの改良点が加えられています。以下は主な違いと共通点を簡潔に整理したものです。

項目

Volca Sample (初代)

Volca Sample 2(二代目)

サンプルメモリ

100スロット(4MB、最大65秒)

200スロット(8MB、最大130秒)。空きスロット50あり、カスタムサンプルに対応。

パターン数

10パターン

16パターン(シーケンス保存数が増加)。

接続性

3.5mmステレオミニジャック経由でサンプル転送(AudioPocketCaustic Editor使用)。

マイクロUSBポート追加で、専用Librarianソフトウェアによるサンプル転送が可能。転送が簡単かつ高速。

新機能

- ソングモード(6ソング保存可能)。 - ステレオケーブルでのサンプル転送はやや不安定。

- パターンチェイン機能(複数のパターンを連結可能)。 - ステップジャンプモード(2種類:タップしたステップにジャンプ、またはリリース時に元のシーケンスに戻る)。 - スタートディレイ機能(各パートの開始タイミングを微調整し、スウィングやグルーヴを追加)。 - ソングモードは削除。

サウンドライブラリ

100のプリセットサンプル。

150の新しいプリセットサンプル(KorgMSXII Sound Designによる現代的なジャンル向け:Future BassTrapLo-Fi Hip Hopなど)。

MIDI機能

単一MIDIチャンネル。

各パートに個別のMIDIチャンネルを割り当て可能(DAWや外部シーケンサーとの統合が向上)。

外観

ホワイトカラー。

ダークグレー(より落ち着いたデザイン)。

ファームウェア

Pajenカスタムファームウェア対応(クロマチック再生など追加機能)。

Pajenファームウェア非対応(ハードウェアの変更により)。

 

共通点
  • 基本仕様:
    • 両者ともPCMサンプル再生(31.25kHz16bit)、最大8ボイスポリフォニー。
    • 10トラック(パート)の16ステップシーケンサー。
    • アナログアイソレーター(Bass/Treble)、デジタルリバーブ搭載。
    • モーションシーケンス機能(サンプル長、ピッチ、レベル、パン、エンベロープなどをステップごとに記録)。
  • 接続端子:
    • ヘッドフォン出力、MIDI INSync In/Out3.5mmステレオミニジャック)。
    • 6本のAA電池または9V電源アダプター(別売のKorg KA-350推奨)で駆動。
  • サンプル編集:
    • ピッチ、スタートポイント、長さ、ハイカット、レベル、パン、エンベロープ(アタック/ディケイ)、リバースの編集が可能。
    • 直接サンプリングは不可(外部アプリでサンプルを準備し転送)。
  • 特徴:
    • ローファイでグリッチーなサウンドキャラクター(特にピッチ変更時に顕著)。
    • コンパクトでポータブル、ビルトインスピーカー搭載。
    • 他のVolcaシリーズとの同期が可能。

AudioPocket/Caustic Editorとの互換性
      https://caustic-editor-for-volca-sample.en.uptodown.com/android

    • 転送プロセスはケーブル接続に依存し、タイミングや接続不良で不安定な場合がある。

  • Volca Sample 2
    • USB経由でKorgVolca Sample Librarianソフトウェア(無料、Mac/Windows)を使用可能で、転送が簡単かつ信頼性が高い。
    • ステレオケーブルでの転送も可能(AudioPocketCaustic Editor対応)が、USBが推奨される。

メリットとデメリット
  • Volca Sample
    • メリット:ソングモードがあり、長いアレンジを作成可能。Pajenファームウェアでクロマチック再生などの追加機能が利用可能。価格が中古市場で安い。

    • デメリット:サンプル転送が面倒(ステレオケーブル依存)。メモリ容量が少ない(4MB)。パターン数が少ない(10)。

  • Volca Sample 2
    • メリット:USBによる簡単なサンプル管理、倍のメモリ容量(8MB)、パターンチェインやスタートディレイなどの新機能、現代的なサウンドライブラリ。MIDIチャンネルの柔軟性向上。

    • デメリット:ソングモードが削除され、長いアレンジが困難。Pajenファームウェア非対応。価格がやや高い(約150-170ユーロ)。

どちらを選ぶべきか?
  • Volca Sample(初代)を選ぶ場合:
    • 予算が限られている(中古で安価)。
    • ソングモードで長いアレンジを作りたい。
    • Pajenファームウェアを使ってクロマチック再生などの拡張機能を試したい。
    • サンプル転送の面倒さを許容できる(AudioPocketCaustic Editorを使用)。
  • Volca Sample 2を選ぶ場合:
    • USBによる簡単なサンプル管理を重視。
    • より多くのサンプル(200スロット)やパターン(16)を使いたい。
    • パターンチェインやスタートディレイでライブパフォーマンスやグルーヴを強化したい。
    • 最新のサウンドライブラリ(Future BassTrapなど)を使いたい。
    • DAWや外部シーケンサーとの統合を重視(個別MIDIチャンネル対応)。

AudioPocketCaustic Editorの利用について

  • AudioPocketVolca SampleVolca Sample 2ともにiOSで無料使用可能。ステレオケーブル(3.5mmTRS)で転送。Volca Sample 2ではUSBが主推奨だが、AudioPocketも互換性あり。ただし、転送の安定性はUSBに劣る。

  • Caustic Editor:両モデルに対応し、Android/iOSで無料。ステレオケーブル経由でサンプルを転送。Volca Sample 2ではUSBが便利だが、AndroidユーザーはCaustic Editorが主要な選択肢。

ここまでの結論

Volca Sampleは、予算重視でソングモードやPajenファームウェアに魅力を感じる場合に適しています。ただし、サンプル転送の煩雑さやメモリ制限がネックになる可能性があります。

  • Volca Sample 2は、USBによる簡単なサンプル管理、追加機能(パターンチェイン、スタートディレイ)、現代的なサウンドライブラリを求めるユーザーに最適。ライブパフォーマンスやDAW統合を重視するならこちらがおすすめです。

補足:Volca Sample 2USB転送は圧倒的に使いやすく、初代のケーブル転送の不安定さを解消しているため、AndroidユーザーはCaustic Editorを活用しつつ、将来的にPCでのUSB管理を検討する価値があります。どちらを選ぶかは、予算と使用目的(ライブか制作か、シンプルさか拡張性か)によります。

普通ならハードウェア機能が優れている後継機種のVolca Sample 2」を選択するのが当たり前ですが、初代「Volca Sample」には有志の方作成したカスタムファームウェア「Pajen」が使えて、この機能が非常に魅力的です。


「Pajen」を開発された Petter Ericson氏のチャンネルでのデモです。


Bad Gearでお馴染みの「AudioPilz」チャンネルでのレビューです。


  「Pajen」ファームウェアで追加される機能  

1) サンプルをキーボードみたいに演奏 クロマチック再生
普通は、パートごとにサンプルをトリガーするでしょ。でも、このアップデートで、外部MIDIキーボード(チャンネル11)を使って、すべてのサンプルをクロマチックに演奏できるようになるんだ。つまり、シンセみたいにサンプルを「演奏」できるってこと。メロディックなサンプリングがめっちゃ楽になるよ。

2) ポリフォニー作成(コードを演奏!)
Volca Sampleは通常、パートごとにモノフォニック(一度に1音)だけど、このアップデートで最大4つのパートを組み合わせて、コードやハーモニーを作れるようになるんだ。各パートはそれぞれサウンド設定を保持するから、色んなサンプルを重ねて、リッチなテクスチャを作れるってわけ。

3) MIDI経由での「ソングモード」
MIDIノートを使ってパターン全体をトリガーできるから、Volcaで手動でパターンを切り替えるんじゃなくて、外部シーケンサーからフルソングをアレンジできるんだ。ライブパフォーマンスやDAWとの連携に最適だよ。

4) 確率ベースのステップ(もっとグルーヴ&バリエーション)
シーケンスの各ステップに確率を設定できるようになったんだ。全く同じパターンを繰り返すんじゃなくて、一部のステップがランダムに再生されるようになる(設定に基づいてね)。これは、ダイナミックで進化するリズムを作るのに最高だよ。

5) 長いパターン用のパートの自動ミュート
バーフィルターを使うと、時間の経過とともにパートを自動的にミュート/ミュート解除するようにプログラムできるから、16ステップ以上のパターンを、追加のプログラミングなしで長く感じさせることができるんだ。

6) もっとリバーブオプション
デフォルトでは、Volca Sampleにはリバーブが1つしかないけど、このアップデートで2つの追加リバーブタイプがアンロックされて、ミックスに多様性を持たせられるようになるよ。
7) サンプルをドローンに変える(アンビエントの良さ)
サンプルを無限にループさせてドローンを作れるんだ。アンビエントテクスチャやレイヤードサウンドデザインに最適だよ。

8) パートのコピーが簡単
あるパートの設定を別のパートに瞬時にコピーできるから、ポリフォニックコードを設定したり、よりダイナミックなアレンジのためにわずかなバリエーションを作ったりするのに超便利だよ。

9) 拡張MIDIコントロール(もっと表現力豊かなパフォーマンス)
外部シーケンサーを使っているなら、MIDI CCメッセージを介して、サンプルパラメーター(ピッチ、開始点、パンなど)をさらに細かく制御できるようになるから、オートメーションやライブでの微調整が格段に強力になるよ。

誰向け?
・ライブパフォーマー 
 → より表現力豊かなコントロールとMIDIトリガー
・16ステップ以上のパターンを求めているプロデューサー
  → バーフィルターでシーケンスを拡張
・メロディックな音楽を作っている人 
 → サンプルをクロマチックに演奏してポリフォニーを追加。
・実験的なサウンドデザイナー 
 → ドローンモード、確率、高度なMIDIコントロール

「Pajen」ような素晴らしい機能をKORGが開発できなかったのは残念ですが、「Pajen」は本当に素晴らしいアップデートだと思います。特にクロマチックにベロシティ付きでポリフォニック演奏が出来るということで、外部MIDIコントロールでサンプリングキーボードとしても機能するようになるわけです。この機能はPajen非対応Volca Sample 2」では実現不可能な機能ので、初代Volca Sample」の大きなアドバンテージになります。

サンプリング音源を追加するアプリ「AudioPocket for volca sample」もiOSのみで、Android用は開発されていないなどKORGの開発能力の非力さを感じます。残念です。

どちらも(31.25kHz16bit)のLo-FI音質なので好みの問題もありますが、どちらかというとガジェット系です。初代と二代目では一度に詰め込めるデータ量は違いますが、遊び方の問題だと思います。
初代Volca Sample」の中古価格は1万円前後なのでお安く入手できます。お手軽に遊ぶのなら初代のVolca Sample」がいいんじゃないか?という結論に達しました。

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