スターウォーズの「スピーダーバイク」のようなVolonaut 「エアーバイク」と同じようなものは、実は1970年代に既に飛行していました。「Williams X-Jet」
大阪万博の「空飛ぶクルマ」はプロペラの破損事故でデモ飛行が中止になっていますが、期待していたものはあんなものじゃなくてコレです。
2025年5月に初公開され、その革新的なコンセプトと、プロペラを使わずにジェット推進で飛行するという点が注目を集めています。従来のeVTOL(電動垂直離着陸機)のようなプロペラがないため、よりコンパクトで、狭い場所での運用も可能とされています。
主な特徴は以下の通りです。
- 推進方式: ジェット推進(プロペラなし)
- 乗員: 1名
- 素材: カーボンファイバーを多用し、3Dプリンティング技術も活用することで、非常に軽量(一般的なオートバイの7分の1程度)
- 最高速度: 時速200km(約124 mph)
- 特徴:
- オープンエアの設計で、パイロットは360度の視界を確保できる。
- 独自の飛行コンピュータと安定化システムにより、自動ホバリングや直感的な操作が可能。
- 設計者のトマシュ・パタン氏は、以前Jetson ONE eVTOLの開発にも携わっていた人物です。
まだ試作段階であり、今後の開発や規制、実用化に向けた課題は多くありますが、個人用空中モビリティの可能性を大きく広げる存在として期待されています。
まるでスターウォーズに出てくるスピーダーバイクのようですが、実はこれによく似た機体は軍事用として1970年代に開発されて実際に安定して飛行していました。
ウィリアムズ X-ジェット(Williams X-Jet)は、ウィリアムズ・インターナショナル社が1970年代から1980年頃に開発した、一人乗りの小型VTOL(垂直離着陸)ジェット機で、"Flying Pulpit(空飛ぶ説教壇)" とも呼ばれていました。
ヘリコプターや無人機と比較して優位性がなかったため、試作機が3機製造されたのみで、量産には至りませんでした。現在は退役しています。
主な仕様は以下の通りです。
- 乗員: 1名
- 全高: 約1.22 m (4フィート)
- 空虚重量: 約182 kg (401 lb)
- 総重量: 約250 kg (550 lb)
- エンジン: ウィリアムズ F107 ターボファンエンジン(改良型)
- 最高速度: 約96 km/h (60 mph)
- 飛行時間: 30〜45分
- 実用上昇限度: 約3,049 m (10,000 ft)
シアトル航空博物館に現存するプロトタイプがあります。
ウィリアムズ X-ジェットが量産されなかった主な理由は、そのコンセプトが当時の技術やニーズに対していくつかの限界を抱えていたためです。具体的には以下のような点が挙げられます。
- 限定的な用途と能力: X-ジェットは一人乗りで、ペイロード(積載量)も限られていました。これにより、物資の輸送や複数の人員の移動といった実用的な任務には向かず、偵察や連絡といった特定の用途にしか使えませんでした。
- ヘリコプターや他のVTOL機との競合: 同時期には、すでにヘリコプターが普及しており、より多様な任務をこなせる汎用性を持っていました。また、ハリアーのようなより大型で本格的なVTOL機も開発が進んでいました。X-ジェットはそれらと比較して、明確な優位性を示すことができませんでした。
- 運用上の課題: 垂直離着陸機は、特に小 型のものでは、安定性の確保や操縦の難しさといった課題が伴います。X-ジェットも、狭い空間での運用や、パイロットの安全確保といった点で課題があったと推測されます。
- コスト対効果: 開発コストに見合うほどの、広範な需要や軍事的なメリットが見出されなかった可能性があります。高性能な小型ジェットエンジンは高価であり、そのコストを一人乗りの限定的な機体で回収することは困難だったでしょう。
- 技術的制約: 当時の技術では、小型軽量で十分な推力を持ち、かつ燃費効率の良いジェットエンジンを搭載し、長時間の飛行を可能にすることが難しかったと考えられます。
これらの要因が複合的に作用し、ウィリアムズ X-ジェットは技術的なデモンストレーターとしては成功したものの、商業的または軍事的な量産には至らなかったと考えられます。
ヴォロノート・エアバイクは自律ホバリングが可能だとされています。「独自の飛行コンピュータと安定化システム」を搭載しており、「自動ホバリング」や「直感的な操作」が可能であると強調しています。
これは、ウィリアムズ X-ジェットのような古い設計のジェットVTOL機と比較して、大きな技術的進歩と言えます。X-ジェットはパイロットの高度な操縦技術に大きく依存していましたが、ヴォロノート・エアバイクは最新のセンサー技術、ジャイロスコープ、フライト制御アルゴリズムなどによって、パイロットが操縦桿から手を離しても機体がその場に安定して留まることができるように設計されていると考えられます。
この自律ホバリング能力は、個人用モビリティとしての使いやすさや安全性を向上させる上で非常に重要な機能です。
おそらくジェットスーツでも使われてるラジコン用の「JetCat P400」を複数使っているんじゃないかと思います。このエンジンを数個搭載すればバイク型でも飛べるはずです。自立ホバリングできるようなので「ジェットスーツ」よりは実用性があると思います。
ただ、このエンジンはあくまでもラジコン模型用の小型ジェットエンジンなので、耐久性は低いので日常的な使い方はできないと思います。その辺が今後の課題でしょうね。