トラディショナル・スキンカヤックの勉強
昨日、愛犬チョビの散髪待ちの暇つぶしにBookoffに立ち寄りました。
最近、本の購入はほとんどBookoffです。(笑)
色々と物色してて興味深い本を見つけました。
山海堂という出版社が発行していた「カヌーライフ」という古い雑誌です。
カヌーやカヤックをテーマにした趣味の雑誌ですが、出版社の山海堂は既に倒産しているようです。カヌーライフ 24冬号 2000年2月発行で定価は890円の本ですが108円で購入しました。
購入の動機は「トラディショナル・スキンカヤックを作る」という特集記事があったことです。
14頁にわたってスキンカヤックの作り方を詳しく紹介しています。
特集は2号連載記事のようで、残念ながら次号は見つけることが出来ませんでした。
しかし、内容の濃いもので設計図も付いていてカヤック作りに参考になります。
まずは材料の調達からで、これが想像していたのとはまるで違って大変な作業だということがわかりました。適材適所の木材の選択など、これだけでも船作りの基本として大変参考になりました。
ここで紹介されているトラディショナルとは伝統的なという意味になるのかと思いますが、あくまでもトラディショナル風と考えておいたほうが無難じゃないかと思いました。
カヤックとは違いますが、参考に以前紹介したバーチバークカヌーの作り方です。
白樺の外皮を利用したカヌーになります。
バーチバークカヌー(Birchbark Canoe)の作り方
http://ttripper.blogspot.jp/2014/03/birchbark-canoe.html
スキンカヤックは主にはロシアやアラスカ、カナダといって北極に近い地域で使われていたシーカヤックの原型ですが、その種類はおそらく星の数ほど種類はあったのだと思います。
地域や部落、伝承された作り手によっても材料や作り方、構造が違っていたと想像できます。
現地で調達できる部材を利用して作るのですから、出来るものが違ってくるのは当たり前だと思います。
もちろん、それらと全く同じものを現在の日本で作るは不可能でしょう。
気候もまるで違う地域ですから元々利用できる材も違ってきます。
記事では出来るだけ本物に近い性能を求めているので、材木や糸、スキンなど細かな指定がありますが、材料費だけで10~15万円もかかるということで、予算的にこれをそのまま作ることは私には困難です。
それと設計図はあくまでも参考値であって、乗り手の体格によって寸法が違ってくるということです。添付の設計は、作者の洲澤育範さんの体格(身長170cm、体重70kg)に合わせたものだということです。
市販のカヤックは洋服のSMLといった感じと同じく決められた寸法の既製品しかありません。
人の体はそれぞれで身長や体重、手や足の長さも違うので、本来はオートクチュールしたものが一番なわけです。
自転車では体格に合わせたものをオーダーメイドできるシステムが一般にありますが、さすがにカヌーやカヤックではそこまでのサービスは一般的ではありません。
もちろん中にはそんな拘りのビルダーさんもありますが、お値段も相当なものです。
著者の洲澤育範さんHPを見つけたのでリンクしておきます。
カヤック作りへの深いこだわりを感じます。
HPの中で、今回の雑誌もまだ販売されているようです。
興味のある方はどうぞ。
イサナ・カヤック
http://i-sanakayak.com/
参考論文「日本に収集されたカヤックとバーク・カヌー」洲澤 育範
http://icfcs.kanagawa-u.ac.jp/publication/cil9hb00000007qd-att/cil9hb00000008lj.pdf
伝統的なシーカヤックは、今時のエポキシでカーボンやグラスをベニアの上に貼り付けた、最先端科学のナンチャッテ・プラスチック・ウッドカヤックとはまるで違うわけです。
どれが正解というわけでもありませんが、あくまでもカルチャーとしてボート作りを探求するのは面白いものです。
まっ、当方のこだわりは一貫してコスト・ゼロベースが基本ポリシーになっています。
随分と志が低いのですが、しかしそのための部品探しでネジ1本を見つけるに2時間も納屋の捜索で浪費するとか、ある意味ディープな作業だったりします。
この記事を読んで、安易に対価を支払って部材を調達しないのがトラディショナルの真髄じゃないかと思うわけです。
そういう意味で我が工法もある意味トラディショナルじゃないかと思ったわけです。(笑)
つまりはゴーイングマイウェイです。