ゲームの遊べるソフトシンセ「KORG DS-10 Plus」と、本家の「KORG MS-10」「KORG MS-20」を比較してみた

 


KORG MS-10KORG MS-20KORG DS-10 Plusの比較

KORG MS-10MS-201970年代のクラシックなアナログ・セミモジュラー・シンセサイザーですが、KORG DS-10 Plus2009年にNintendo DSi/DS向けにリリースされたソフトウェア・シンセサイザーアプリで、主にMS-10をエミュレートしたものです。DS-10 PlusはオリジナルDS-10の拡張版で、DSi対応によりポリフォニーやトラック数を強化。アナログの温かみをデジタルで再現しつつ、ポータブルで手軽に遊べる点が特徴です。MSシリーズのファン向けに設計されており、MS-10のシンプルさを基調にMS-20の要素(例: デュアルVCOや同期機能)を一部取り入れていますが、ハードウェアの物理性やアナログの不安定さとは異なり、ソフトウェアならではのシーケンサーやエフェクトが追加されています。現在(2025年時点)では、DS-10 Plus自体は古いプラットフォーム向けですが、iOS版のiDS-102015年リリース)として進化しており、現代のデバイスで似た体験が可能。以下に、オリジナルMS-10/MS-20を中心にDS-10 Plusを加えた比較をテーブルでまとめます。

 

基本仕様の比較

項目

KORG MS-10

KORG MS-20

KORG DS-10 Plus

リリース年

1978

1978

2009年(Nintendo DSi/DS用アプリ。オリジナルDS-102008年拡張版)

タイプ

アナログ・セミモジュラー・ハードウェア

アナログ・セミモジュラー・ハードウェア

デジタル・ソフトウェア(MS-10エミュレーション、DSi/3DS対応)

キーボード

32鍵、ベロシティ/アフタータッチなし

37鍵、ベロシティ/アフタータッチなし

仮想2オクターブキーボード + Kaoss Padスタイルのタッチインターフェース

オシレーター (VCO)

1基(波形: 矩形/三角波、PWM対応)

2基(波形: 矩形/三角/鋸歯波、リングモジュレーション可能)

2/シンセ(波形: 鋸歯/パルス(固定幅)/三角/ノイズ。MS-101基を拡張)

フィルター (VCF)

1基(ローパス、Korg 35チップ。自振動可能)

2基(ハイパス + ローパス、Rev1: Korg 35チップ、Rev2: BA662チップ)

仮想ローパス/ハイパス(MS-10/MS-20風エミュレーション、カットオフ調整)

エンベロープ (EG)

1基(ADSR

2基(フィルター用 + アンプ用)

ADSREGVCO/VCF/AM変調可能)

LFO

1基(三角/矩形波、VCO/フィルター/アンプ変調)

1基(三角/矩形/S&H、豊富な変調オプション)

仮想LFOEGVCO2とのパッチング可能)

ノイズジェネレーター

あり(ホワイト/ピンク)

あり(ホワイト/ピンク)

あり(波形の一部としてノイズ使用可能)

パッチパネル

あり(シンプルなノーマライズ接続、CV/Gate対応)

あり(複雑なルーティング、外部信号プロセッサー)

仮想パッチ(タッチスクリーンでLFO/EG/VCO2をパラメータに接続)

シーケンサー/ドラム

なし(外部シーケンサー対応)

なし(外部対応)

16ステップシーケンサー(21パターン記録可能) + 4パートドラムマシン(8トラック in DSiモード)

ポリフォニー

モノフォニック

モノフォニック

6声(標準DS / 12声(DSi/3DSモード、4シンセ + 8ドラム)

エフェクト

なし

なし

コーラス/フランジャー/ディレイ(個別/グローバル適用) + ドラム専用エフェクト

その他の機能

外部信号入力、ホールド。シンプル操作

S&H、外部入力(ギター加工可能)。多様なモジュレーション

同期機能(MS-20に欠けるもの追加)、ワイヤレスマルチプレイ(最大8台接続)、スケール設定、ステップ録音。iOSiDS-10で進化(2015年)

サイズ/重量

コンパクト(ハードウェア)

MS-10よりやや大型

ポータブル(Nintendo DS/DSi本体サイズ)

価格 (当時)

US$500

US$750

US$40DSソフト)

現在の市場価格

US$8001,500(ヴィンテージ中古)

US$1,5003,000以上(人気高騰)

US$2050(中古DSソフト)。iDS-10アプリ: US$20iOS

 

音の特徴と使い勝手の比較

  • 音質の違い:
    • MS-10: シングルVCOのシンプルで「怒りっぽく、汚い」アナログサウンド。Korg 35フィルターの鋭いリゾナンスと太い低域が特徴。ベースやリードに強く、即時性が高い。
    • MS-20: デュアルVCOとデュアルフィルターで複雑で攻撃的なサウンド。Rev1の歪みエッジーさやリングモジュレーションのメタリックさが魅力だが、低域はハイパスフィルターの影響でMS-10より弱め。
    • DS-10 Plus: MS-10をデジタルエミュレートしつつ、2 VCOMS-20風の拡張(同期機能追加でMS-20の欠点を補う)。アナログの温かみを再現するが、デジタル特有のクリーンさがあり、MS-10の「怒張した」感じを近似。ドラムマシンとエフェクトで現代的だが、ハードウェアの微妙な不安定さ(ドリフト)はなく、MS-20mの音に「comparable」との評価も。 低域はMS-10に近く、ベース向きだが、ソフトウェアゆえの制限(例: 固定パルス幅)で完全再現ではない。
  • 操作性と柔軟性:
    • MS-10: パネルがシンプルで直感的。初心者向けだが、拡張性はパッチング次第。
    • MS-20: 豊富なオプションでクリエイティブだが、複雑すぎる場合あり。
    • DS-10 Plus: タッチスクリーンで仮想ノブ/パッチを操作。MS-10のマニュアルが参考になるほど忠実だが、シーケンサーやKaoss Padで即興演奏しやすく、ポータブル。DSiモードでトラック増(12声ポリフォニー)し、ワイヤレスジャムが可能。チュートリアル不足が弱点だが、MSシリーズの学習ツールとして優秀。 マルチプレイでMS-20の外部連携をデジタルで代替。
  • 強みと弱み:
    • MS-10の強み: アナログの即時性と低域の太さ。弱み: 機能限定的。
    • MS-20の強み: 汎用性と実験性。弱み: 複雑で低域弱め、価格高。
    • DS-10 Plusの強み: 手頃でポータブル、MS-10のエッセンス + MS-20要素(同期/デュアルVCO)。シーケンサー/ドラム/エフェクトで作曲しやすく、iDS-10版で現代デバイス対応。 弱み: デジタルエミュなのでアナログの「生々しさ」が薄く、DSハードウェアの古さ(音出力はヘッドホンジャック経由)。MS-20の完全代替にはならず、音の微妙なニュアンス差あり。

現代の視点とおすすめ

MS-10/MS-20はヴィンテージの魅力でコレクター/アナログ愛好家向けですが、DS-10 Plusはエントリー/ポータブル派に最適。2025年現在、DS-10 Plusは中古市場で入手しやすく、MS-10の「シンプルさ」を低コストで体験可能。MS-20のファンなら、同期機能追加が嬉しいポイント。 ただし、Nintendo DSの陳腐化を考えると、iDS-10iOSアプリ、約US$20)をおすすめ—MS-10エミュ + ボイスシンセ/アナログドラムを追加し、CPUパワーで高品質サウンド。 用途で選ぶなら: アナログ本格派はMS-10/MS-20、気軽に遊ぶならDS-10


「KORG DS-10 PLUS Limited Edition」を買っちゃいました!


KORG DS-10 PLUS Limited Edition Techno







Amazon KORG volca sample2
KORG volca sample2


Amazon SONICWARE LIVEN Lofi-12
SONICWARE LIVEN Lofi-12


Amazon KORG wavestate
KORG wavestate


Amazon SONICWARE LIVEN XFM
SONICWARE LIVEN XFM


このブログの人気の投稿

空き缶スターリングエンジンの作り方

レトロっぽい、カードサイズの小さなコンピュータ「M5Stack Cardputer ADV」でソフトシンセは作れるか?

KORG「Volca Sample」と「Volca Sample 2」どっちを選ぶ? 「Pajen」ファームウェアとは?

実際に動く木製エンジンの作り方 「Wooden engine」

ファミコンゲームの作り方「X6 Game Player」

Scratchでどこまで作れるか? ゲーム作成ツールとしての実力

ウクレレ入門♪ 簡単コード表

夏休みの観察日記「マンゴーの発芽実験」

中華トライクはどう? ナンチャッテ T-REX TRIKE