実際に動く木製エンジンの作り方 「Wooden engine」


実際に動く木製のエンジンの制作にチャレンジです。

エンジンは高圧で高熱さらには加工精度も問われる加工技術の集大成という常識がありますが、
木製で動くエンジンが出来るとは楽しい。
デスクトップ・エンジンとしてこれ中々イケているジャンルかもしれません。


Steam Engine Model
http://www.youtube.com/watch?v=m-M6KJvfv54
完全な木製ではありませんが、構造も簡単そうで動きもいいです。


Model "Steam Engine"
http://www.youtube.com/watch?v=KnwwqFl08Nc
完全な木製で蒸気エンジンのレプリカのようです。カワイイです。

woodengine.MOV
http://www.youtube.com/watch?v=mC9jsmDegY0
加工も綺麗で動きもスムーズです。インテリアとしてもいいですね。


Wood Engine 07
http://www.youtube.com/watch?v=kqxWhgf7Obo
タペットの動きなんか最高です。眺めているだけで癒されます。


Wooden Stationary Steam Engine Model
http://www.youtube.com/watch?v=zxD8vHdDDDY
水平対向のエンジンでデザインもいいですね。


Wooden air engine
http://www.youtube.com/watch?v=ngb4SYR74m4
掃除機で動く大型の模型エンジンのようです。構造がよく理解できます。


圧搾空気で動くエンジンって意味があるのか?という突っ込みは置いといて
見た目のイメージが面白いし、模型のジャンルとしてはアリでしょう。

本当は本格的なスチームエンジンを作ってみたいのですが、技術的にも予算的にも現状は無理です。
卓上エンジンと言う意味では木製エンジンも良い感じなのでこちらで行きたいと思います。

実はその前にペーパーエンジンを作りかけたのですが、材料が足りなくなったので途中で止まっています。
いずれそちらも手を出そうかと思っています。

材料はいつものとおりゴミのみです。
和菓子の箱、カマボコの板、竹串、アイスクリームの棒
見事なラインナップです。


一応構造は簡単にCADで設計して・・・
製作に入ろうとした時、あのバカプリンタ問題が起こってしまったのです。
おかげで1日損しました。エプソンのバカ。

この印刷は○○でやってきました。
(A4一枚ゆるしてね)

この図面を貼り付けて工作開始です
のんびり製作していきたいと思います。
現状はこんな感じです。



まだ一部仮組み状態で調整中です。
以前に作っていた木工時計も苦労したのは、木材という素材そのものの精度です。
金属や樹脂といった素材に比べて木材は殆ど精度がありません。


和菓子の箱がエンジンに変貌しつつあります。
んートランスフォーマーみたい。
エンジン部分の材料はほぼカット終了です。


しかし、これかなりムズイ気がしてきました。
物が物だけにそれなりの精度が要求されます。

問題はサイズです。
小さ過ぎたかも・・・


どんなに精密に加工しても、簡単に潰れたり反ったりします。
つまり元々の精度に限界があるということです。

木工時計の場合は歯車の軸を、いかにスムーズに動かすかという課題です。
時計の歯車の場合は大きさの問題もあり、ある程度の誤差は許されました。

しかし、この木製エンジンの場合はそうも行かないのです。
ほんのわずかな隙間でも空気は簡単に漏れてしまいます。

簡単な工作のように見えますが、シリンダーとピストンの3枚の板を全く狂い無く貫通させるのは相当苦労しました。(泣)

しかも今回のエンジンサイズはラジコンのエンジン程の大きさしかありません。
シリンダーの容量からして、かなりの相対精度が要求されるようです。
0.1mmが許されない世界です。(狂ってますが)


さらにもう一つ問題は、湿気です。
丁度今は梅雨の時期ですので、日によって相当な湿気があります。
木材は、ほんの少しの湿気で簡単に膨張してしまいます。

キッチリ作れば動きが重くなり、ゆるく作れば空気が逃げてしまいます。
その頃合を調整してもその日の湿度で動きがまるで違ってきます。
ムズイ・・・

ピストンロッドを金属にすればかなり楽なんですが、オールウッドに拘っていますのでここは妥協しないつもりです。
そこで秘密兵器のベビーパウダーです。


これ木工時計の時も使いましたが、木材の潤滑油代わりには最適です。
パウダーを少し付けてピカピカになるまで磨き込み、摺り合わせをして調整します。

まーそんな暇なことをやっているもので、ちっとも前に進まないのです。
先は長そうです。

素直に大きく作ればいいんですがね・・・
カマボコの板でフライホイルを作ってました。


ピストン型エンジンでは、フライホイルは無くてはならない重要な部品ですが、
カマボコの板でも磨けば光るのです。
まだ光ってませんが・・・

適当な工作なため、ここで狂いが・・・
ヒストンとバルブの幅がちょっと狭くないかい?
ん~~


一応、形はでけました。



手ではスムーズに回ります。
が、空気では回りません。(汗)

実験用エアーポンプは掃除機を使いました。
つまり吸気力で回すエンジンです。

このスライドバルブは正転と逆転が出来ますが、
確かにそれぞれ微妙な回転トルクは感じます。

しかし自力で回転し続ける気配はありません。

ん~~

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ついに木製エンジンが動き始めました。
まだまだ短いサイクルですが動こうとしているエンジンの鼓動を感じます。

Homemade Wooden air small engine 


いやー動いてくれるとカワイイものです。
和菓子の箱とカマボコの板で作ったエンジンでも立派に動くのです。

オールウッドというのがこのエンジンのこだわりです。
軸にも金属や樹脂は一切使っていません。

しかもこのサイズです。
小さく作るのがこれがまた大変なのです。

「エンジンが動いたぞー」っとママに知らせると、
それを見て 「・・・だから、風車の方がいいんじゃない?」

うっうっ痛い・・・一番痛い所をもろに突きやがった・・・
冷静に考えれば、風車も一種の空気タービンエンジンなのです。
しかも簡単でパワフルでスムーズです。(汗)

しかし、そんなものはどうでも良いのです。
吸気と排気を繰り返す「ピストン」こそ男の命なのです。
わかるよな、わかってるな、っな

ピストンに愛を込めて、ピカピカに磨き光らせてやりたいと思います。
今日もピストンは元気です!(爆)

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なんとか動いてくれた木製エンジンですが、
実験の後は考察が大切ということで色々と考えてみました。


◆なぜ?
なんで木製エンジンなのか?という疑問を大方の方が持たれるかと思います。
答えは簡単、木材しか手元に材料が無かったからです。(汗)
ゴミ工作が基本ポリシーですから、ゴミで遊ぶというオコチャマ的発想でもあります。
本当は本格的なスチームエンジンでも作りたいところですが、材料費もかかるし工具代も相当かかります。
さらに加工技術も要求されますから、現状の私には手が出ないのです。
動作した時の感動は同じようなものなので、これでも十分満足できるかと思ったわけです。

◆木製エンジンの原理
このエンジンは空気エンジンです。
通常は圧縮空気などの高圧空気で動作させますが、逆発想でバキュームでも動作します。
つまりシリンダー内を掃除機で減圧してその吸着力でピストンを引き寄せて動作させます。
もちろんエアーポンプが空気を送り込めば逆転して動作するはずです。
構造的にはスチームエンジンと同じ構造で、手前のスライドバルブにより減圧サイドを切り替えています。
もしこれが木製ではなく金属ならスチームでも動くはずです。

◆工作のポイント
とにかく木材という材質は精度がありません。いくら精密に加工してもダメです。
この梅雨時期に調整しているので、夏場の乾燥時期にはスカスカで動かなくなる可能性もあります。
ぺビーパウダーを潤滑油代わりに使っていますが、元々はロウ石ですので保湿力もあります。
よって使い過ぎると不味いかと思います。木材の目止め程度に使うのがコツです。
ピストン部分の最終的な調整は、カッターの刃を立てて撫でるように表面を削り調整します。
後は十分擦り合わせを行えば良いかと思います。

◆掃除機の注意点
このエンジンの原動力は掃除機の吸引力を使っていますが、うちの掃除機はゴミが一杯になり吸引力が落ちると、モーターの焼付けを防止するため回転力が落ちる仕組みになっています。(ゴミサイン)
これが厄介で調整時に苦労しました。
出来ればバカチョンな掃除機が良いかと思いますが、掃除機に過度な負荷はかけると壊れる可能性がありますのでご注意ください。

◆実用性
実用性はゼロです。それこそ風車でも作ったほうが簡単で実用性があります。
一般の模型同様、あくまでも自己満足なオブジェなのです。
しかし構造像的にはスチームエンジンそのものですし、加工も比較的簡単ですから学生さんの教材としてはいいかもしれません。
エンジンの構造を理解し、工作技術の基礎練習としても楽しい題材かもしれません。
学園祭の出し物としては受けるかもしれませんね。


掃除機と格闘しながら調整していて思ったのですが、
掃除機の先に空気圧で動くターボブラシの着いたものがありますが、あれも空気エンジンの一種ですよね。
それってよっぽど実用性のある賢い発想なわけです。
それに比べて、これってねー(汗)

こうやって考察をしているあたり、このシリーズもそろそろかと匂うわけです。
何しろ動作したからといって、この先の発展性がないのです。
V12のような多気筒エンジンもデザインしてみましたが・・・だから?

さてどうしたものか。